僕がまだ日本にいる頃

僕がまだ日本にいる頃、ニューョークがいかに危険かを、雑誌などでサンザン読んでいたので、この街では夜遅くは外出なんかできないんだろうと勝手に想像していた。ところが来てみれば、深夜でも歩いてる人はいくらでもいるし、外に出ただけで殺されるとも思えず、ヒョコヒョコと出歩くようになった。そのうち持ち前の好奇心で、少々怖いと言われるとこでも、ズンズンひとりで行きだした。こうなってくると誰しも、自分に限ってと思うようになるもので、今考えると、ハチノムサシみたいにムコウミズだった。それはこの街に来て、一年ほどしてからのこと。あるダンスクラブに遊びに行って、急に少し気分が悪くなり、僕は友達を残し、ひとりトボトボとウチヘ帰っていた。そこはウエストヴィレッジの閑静なアパート街、朝の四時ってこともあり、人通りはなかったが、別に危ない雰囲気はしなかった。ふと気づくと、前方から道の中央を、スキンヘッズの男の子が、スケートボードに乗ってやってくる。当時スキンヘッズは、イーストヴィレッジにはよくタムロしてたが、ウエストヴィレッジで見ることは稀で、何してるんだろうと、気を取られてたら、イキナリおなかにガッンとショックを感じ、ウズクまってしまった。